羊1000種の多様性

羊1000種の多様性

人が羊という生きものを飼育し始めたのは、約1万年前と言われています。それまでも、人は野生の羊を狩猟して食べていたそうですが、世界のいくつかの地域で、ほぼ同時期に「飼ってみよう」という流れが起きました。その理由は、はっきりとしていません。羊を狩猟しすぎて数が減ってしまったから、人口が増えて生活が変化したからなど、さまざまな考えがあるようです。

当時の羊はアジア・ムフロンと呼ばれる品種で、毛色は黒、大きな角がありました。1万年という長い時を経て、この種から、さまざまな品種が生まれました。大きな体で柔らかい毛質が特徴のメリノ種から、4本の角と弾力ある毛質をもつマンクス種まで、今、世界には少なくとも1,000種、およそ10億頭が暮らしています。

人が家畜として利用しやすいという理由で、毛色が白い種、美味しい肉がいただける種が増え、私たちがよく目にする羊のイメージになったようです。

1,000種とはいきませんが、世界の羊毛に精通した方から、ありったけの羊毛を一度に見せていただく機会がありました。写真はほんの一部で、さわっていただけないのが残念。色味、太さ、長さ、硬さ、全てが、全く違うのです。

例えば "白"と言っても、透き通るような白から、青みがかった白、クリーム色に近い白、と風合いが異なります。そして同じ品種であっても、その羊が暮らした地域、環境、暮らしぶりによって、毛質が大きく変わります。当たり前のことですが、羊毛は "生きものの毛" なんだなあと実感を深めました。

糸に紡がれる前の羊毛を目にするまで、衣服に付いている品質表示の"WOOL 100%"が、こんなに多様だとは知りませんでした。ひとことでは到底言い表せない羊固有の美しさと性質の違いに出会い、感激したことが、全ての始まりです。

未未は、羊毛をニット製品の形で "そのまま" お届けすることを目指しています。ぜひ実際に手に取って、お気に入りを見つけてください。

 

久米敬子(紡ぎ手・編み手)

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