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羊毛を選んで纏う

毛糸になる前の羊毛を目にするまで、衣服に付いた品質表示の"WOOL 100%"が、これほど多様だとは知りませんでした。繊維の色合い、柔らかさ、弾力、長さや太さなどのあらゆる違いは、それぞれの種に固有の美しさ。

羊毛本来の美しさをそのままお届けするニット製品を作りたい。これが未未のはじまりです。

多様な繊維1本1本と向き合う方法として、手紡ぎ・手編みという手仕事で制作しています。漂白や染色はせず、装飾のないシンプルなデザインも大切にして。

多様な世界の羊の原毛に触れ、様々な側面から未未の製品を楽しんでいただきたいと思います。

2023年春 久米敬子(紡ぎ手・編み手)

Instagram|@mibi.jp

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手紡ぎ・手編み 

羊毛を紡ぐ、羊毛を編む。手仕事が羊毛本来の美しさを引き出します。

|1|羊毛を選ぶ

羊毛は、繊維の色味、太さ、長さ、弾力など、全ての性質が、種によって異なります。その多様な質感と美しさが生きる形を求めて、羊毛を選びます。時には直接牧場に伺い、羊の毛刈りからに立ち会うことも。

|2|羊毛を紡ぐ

繊維の方向をそろえほぐした後、羊毛 1 本と向き合いながら、糸車で紡ぎます。昔ながらの手法で、足踏みと手送りを調整し、最善の太さとヨリを見極めます。手紡ぎのゆらぎが、羊毛の美しさを引き出します。

|3|羊毛を編む

水通しでふわっとした糸を、棒針・かぎ針・手編み機を組み合わ せて編んでいきます。手紡ぎ糸の質感が最も生きるように、1目に注意を払って編みます。心地よく身体に馴染むつくりを大切にしています。

|4|仕上げる

蒸気をたっぷりあて、やさしくアイロンで整形します。羊毛の生き生きとした表情が現れる瞬間です。染色や漂白、装飾はせず、羊毛本来の美しさと性質を最大限生かした製品をお届けします。


大型の機械や工場での生産が始まる前に、古くから行われてきた手紡ぎ・手編みという手法。手仕事が主流だった時代、羊と人は同じ場所で共に暮らしていました。利用する人と利用される羊いう関係を超えて、 生きものの尊厳や愛情がより強くあったことと想像します。現代よりも羊と人の、生きものとしての関わ りが深かったことでしょう。

未未は、1万年もの長い間、人の暮らしが、羊という生きものに支えられてきたことを、実感できるも のを作りたいと思っています。そしてこれが、人と他の生きものの距離を縮め、人もまた生きものである ことに想い至る過程でありたいと願います。

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羊1000種の多様性

人が羊という生きものを飼育し始めたのは、約1万年前と言われます。当時の羊はアジア・ムフロン種で、 色は黒、大きな角がありました。長い時を経て、ここからさまざまな品種が生まれました。大きな体で柔らかさが特徴のメリノ種から、4 本の角と弾力が魅力のマンクス種まで、今、世界には少なくとも1000種、およそ10億頭が暮らしています。そして、人が品種改良を重ねた結果、羊は季節に応じて自らの力で毛を落とせなくなり、人による毛刈りが必要な生きものになりました。

羊毛は、色味、太さ、長さ、弾力など全ての性質が、種によって異なります。例えば 白色。透き通るような白から、青みがかった白、クリーム色に近い白と風合いが異なります。さらに、同じ品種でも、その羊が暮らした地域、環境、暮らしぶりによって、毛質が大きく変わります。

毛糸になる前の羊毛を目にした時、衣服に付いた品質表示 "WOOL 100%" が、これほど多様だったことに驚きました。一言では到底言い表せない羊固有の美しさと性質の違いに出会い、感激したことが、全ての始まりです。未未は、羊毛をニット製品の形でそのままお届けすることを目指しています。

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未未

「未」は干支の羊の意。ミ・ビという読みをいただき、私たちの仕事の中心である羊を表す名前としました。 「未」は「木の枝葉の茂りゆく形」を表した象形文字とのこと。この字の成り立ちのように、羊毛の美しさが、内から引き出され、伸びゆく仕事でありたいと思います。